キャッシュ・ディスペンサー、まさに現金自動支払機だ。
だが、「ハイリスク、ハイリターン」という言葉通り、失敗すれば、担保にした家は失う。
月賦やローンが出現し世の中を変えていったように、また、自分が住んでいる家やマンションを担保にして老後の資金を借りる「武蔵野方式」が老後の過ごし方や意識に大きな変化を与えたように不動産の動産化は、急速に日本のマネi・ワールド、日本人の生き方を変貌させてゆくだろう(厚生省は武蔵野方式を発展させ、標準で四〇〇〇万円程度の土地を所有する人を対象に、土地を担保にしての終身年金と、いざというときの医療資金を貸す老後保障のシステムの構想を発表した)。
念には念を入れた保障措置が必要であるが、「不動産に車輪をつけて動かす」時代がくるというのもあながち誇張ではない。
だが、「愚公山を移す」には、畑を作り、太陽の恵みを得るという前提があった。
不動産を何のために動産にするのか。
財テクと老後のためだけではいかにも寂しい。
この夢にまで見た五〇〇〇万円もの現金が運用できるとき、それを何のために、家庭のためにどう使うか。
亭主の家政学、人生観が問われている。
じっくり人生を楽しんで金を使い、自分の葬儀が終わったあと、子供たちが遺産を調べたら、あると思った家と土地の財産価値のほとんどを使いきって、子供たちの腰をぬかさせるか……。
金余り時代は楽しみと危険を秘めたカードを配ってくれた。
秋の夜長、男の夢をひとつ何に賭けるか。
でも、こういうことを妄想するだけでも結構楽しかったりするんですよね。