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網で焼く

焼き鳥屋では普通、網を使いません。

炉の上に渡した鉄の棒の上に串を置いていきます。

一流のレストランでは、ステーキといえばフィレ肉を使うので、分厚くきったフィレを金串に刺して焼きます。

というわけで、プロは網を使うことは少ないと思っていいでしょう。

わたしは、ひとつの炉でいろいろなものを焼きたいです。

牛ロースのステーキ、もも肉の薄切りの網焼きもしたい。

バーベキューにも使いたいし、ぶりの照り焼きもしたい。

牛のたたきも焼きたい・・・。

と、ずいぶん欲張ったことを考えるので、当然網の出番が多くなります。

プロが敬遠する網も、使いこなせば結構うまく使えますし、重宝この上なしなのです。

網で焼く その2

1番安上がりなのは、四角いもち焼き網を使つことです。

一辺が20センチ余りもあるから、2枚を針金の輪でとめておけば広げるとちょうどよい大きさになります。

使わない時は二つ折りにしてどこかへ引っ掛けておけばいいですし。

ただし、余り長持ちはしませんね。

専用の碁盤目の網は、18×50の物を求めておけば、長さは少しはみ出ますが幅はちょうど煉瓦の中に収まります。

今では、専らこの網を使っています。

牛肉は、すき焼きに使う脂を直前にぬって使うといいです。

時々、その脂でふくと焦げつかないですよ。

かしわは、はじめ網にくっつきますが、すぐなれてひっつかなくなります。

なお、野菜を焼いた後で肉を焼くとひっつくので、できれば焼く所をわけておくと良いでしょう。

焼きなすは、網を使わずに直接火の上で焼きます。

これは炎があがっても大丈夫だから、コンロでそのまま焼いても良いですね。

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火力の調節

煉瓦の炉にはロストルがありませんね。

わずかに、前方の4センチ程の煉瓦の隙間から風が入るだけです。

ロストルがないため焔が立たないという利点はあるものの、裏返せば、立ち消えしやすい欠点も持っています。

コンロの中では真赤な炭が、炉に移してしばらくすると黒ずんでくる場合もあり、炭の良否の判断にも役立ちます。

火力調節は、ふつう団扇で行ないます。

渋団扇と呼ばれる、大きくて頑丈な赤いうちわですね。

柿の渋を塗った本物のうちわは手にはいらなくなってしまいましたが・・・。

赤い色が手につくような団扇が多くなりましたね。

さて、うちわで炉の左側をあおぐと炉の右側、右側をあおぐと左側に風がまわって火力があがります。

火力を押さえるには、上を左右にゆっくりあおぎましょう。

はやくあおぐと、火力は全体に強くなります。

煙を逃がすためには、左右どちらかの隅から斜めに風を送るといいですよ。

なすびなど、水分の多い物を炭の上に直接置いて焼いた時は、炭が消えそうになります。

そんな時には、ヘアドライヤーのような送風機を使うと、早く火力が回復します。

うちわ1本で火力を調整する楽しみは、ガスや電気のつまみを廻すよりは、はるかに大きいのです。

網焼きとステーキ

食肉の王者は、なんといっても牛肉でしょう。

「煮ても焼いても食えん」という言葉がまったく通用しないどころか、煮ても美味しい、焼いても美味しいとくるから、肉といえば牛肉をさすくらいになってしまいましたね。

煮るという調理の仕方のなかでは、すきやき、しゃぶしゃぶは、日本人らしい牛肉の食べ方といえます。

一方、焼くという調理の仕方では、ステーキがその代表格ですね。

でも、たたきは、かつおのたたきを応用したものでしょうし、牛さしにいたっては、純和風としかいいようがありません。

ステーキは食べたし、金はなし。

肉屋の主人に、「肉を焼いて食べたいが、安くておいしい方法ありませんか」と聞いたら、「一口テキはどうです?」という返事が返ってきました。

一口テキとは、「もも肉を薄く、一口で食べられる大きさに切って焼く。たれは、生じょう油に焼きたてをさっとつけて、そのまま口へ運ぶとおいしい」ということでした。

わたしは早速ためしてみました。

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網焼きとステーキ その2

炭火をおこして炉に移し、網に油をぬって肉を置きます。

しばらくすると血がにじんでくるので裏返します。

脂がにじんできたらタレにつけます。

タレは、生じょう油に少しお酒を入れてみました。

ステーキとは違った、あっさりした味です。

でも、少々かたい。

なので、もう少し薄く切ってくれるように頼んでみました。

それでもまだ少しかたい・・・。

試行錯誤の末、3~4ミリ程度の厚さが1番やわらかいことがわかりました。

今では、だまっていてもその厚さに切ってくれます。

天気のいいときはこの一口テキの網焼きを、戸外で、しかも焼きたてを食べるのがおいしいです。

冬場は、外でちょっとというわけにはいかないですから、タレにつけたらすぐ引き上げて、ボールにでもとっておきます。

炭火で焼いたこの一ロテキは、不思議なことに明くる日になっても柔らかいのです。

柔らかさは、焼いた直後よりも、むしろ1日置いた方がすぐれている位です。

フライパンや鉄板で焼くと、時間がたつにつれて固くなっていくから、これは炭火の持つ魔力としかいいようがないですね。

肉をおいしく焼く方法

正月のご馳走の一つに、ごぼうの網焼き巻きがあります。

ごぼうを4つにたて割りし、3~4センチに切ってゆがいたのち、酒、みりん、醤油、砂糖で、甘辛く味つけしておきます。

このごぼうを芯にして網焼きを巻いて楊子でとめます。

ごぼうと牛肉はいたって相性が良いから、味も良く、見た目にも豪勢ですよ。

この網焼き巻きは、正月料理に欠かせないものとなり、大皿の一角を占領します。

網焼き用に使ったたれは、牛肉のおいしい味が入っているから、漉して火を入れ、冷蔵庫に保管しておきます。

このたれは、ハンバーグ、オムレツ等にかけるとおいしいです。

かしわのたれと同じく、使う時には減った分だけ醤油を足していくようにすれば、大体同じ分量のたれを確保することができるし、味もだんだん良くなってきます。

おいしいステーキということになれば、鉄板焼き、石焼きなどが、高級な調理法ということになっていますが、何といっても炭火焼きの右に出るものはないでしょう。

ステーキのたれもそれぞれ工夫されているようですが、なかなか素人には簡単にできそうもないから、「ステーキは食べたいけれど、あんなたれはちょっとできないから、家庭でステーキは無理だね」というと・・・

「良い肉だったら、塩、こしょうで結構おいしいですよ。好みで、醤油をほんの1、2滴落とすといいです。1度やってみられたらどうですか」

「炭火で焼いたらよいでしょうか」

「そりゃもう最高です。炭火で焼くと、脂が落ちるからおいしくなるんです。

フライパンで焼くときは、脂をいったん捨てないと、その脂が肉の中へ逆戻りしてしまい、おいしくなくなるんです」

こんなノウハウを教えてくれました。

肉をおいしく焼く方法 その3

ステーキは、ふつうナイフとフォークで食べる分だけ切って食べます。

しかし、本当においしいのは、できるだけナイフを入れないことですね。

だから、ごく親しい者同志であれば、はしでつまんで、自分の歯で切って食べることができれば1番おいしいです。

ただし、これは最上の肉をうまく焼いた時にしかできない食べ方ですが。

ナイフでごしごしやらねば切れないような肉を、歯でかみ切ることは至難の技ですもんね。

3週間以上もねかせて脂身の色が変りかけたような肉を炭火で程良く焼き上げたロース肉は、フィレ肉よりもかえっておいしいし、歯で十分かみ切れるのです。

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