中国のはなし 5
中国が本格的な近代化を達成することが不可能なのは、近代化を阻む二つの具体的要因に拘束されているからにほかなりません。
その近代化を阻む二つの要因とは、その第一が、中国化されたマルクス・レーニン主義-毛沢東主義というイデオロギーであり、その第二が、ピラミッド的に中国を組織している中国共産党の強力な官僚組織です。
中国は有史以来、ここを統一的に管理していくということは非常に困難な地域でした。
この数千年来、中央権力が統一的に国家を統治している期間より、各地の諸勢力が相互に闘争している状態の期間のほうがはるかに長かったのです。
地理的、文化的に考えてみても、同じ漢字を使っても、北方の北京周辺、南方の上海周辺では、話し言葉はかなり違います。
さらに四川省あたりの内陸でも、言語、文化がかなり異なるなど、中国全体を束ねるのは容易な術ではありません。
中国政府が10億人もの人口をもつこの広大な国家を統治していくには、どうしても強力な大義名分ーイデオロギーが必要なのです。
中国における過去のそれは、儒教でしたが、現在のそれはマルクス・レーニン主義にほかなりません。
中国共産党の掲げる毛沢東主義、マルクス・レーニン主義は、一般中国大衆が信じる信じないは別にして、中国を統一していくうえで絶対的に必要な公式イデオロギーです。

